この記事の要点
- 1カルテに書く項目は「犬の情報・飼い主の情報・施術の記録」の3グループで設計すると、必要な情報を整理しやすくなります。まず記録の型を決めるのが出発点です。
- 2記録の方法は紙・エクセル・電子カルテ(アプリ)の3つで、費用と検索・共有のしやすさが段階的に変わります。今の規模に合う方法を選びましょう。
- 3カルテは有料の専用システムを契約せずに自作できます(用紙やソフトの費用はかかり得ます)。記録する項目を決め、毎回同じ様式で残すのが出発点です。
- 4施術履歴と仕上がり写真を残しておくと、次回の再現やお客様への説明がしやすくなります。トリミングならではの記録として役立ちます。
- 5カルテは個人情報を含むため、利用目的を具体的に定め、本人から書面等で直接取得する場合(受付票・Webフォーム等)は原則取得前に明示(その他は取得方法に応じ通知・公表)し、範囲内で使うのが基本です。写真の外部公開や第三者提供は別に判断し、迷う点は専門家に確認しましょう。
トリミングカルテに記録する項目【犬・飼い主・施術の3グループ】

トリミングのカルテづくりでまず決めたいのは、「どんな道具で作るか」より「何を記録するか」です。項目がばらばらだと、担当が変わったときに情報を引き継げず、前回と同じ仕上がりを再現しづらくなります。記録する項目は、犬の情報・飼い主の情報・施術の記録という3つのグループで整理すると、項目の抜けを確認しやすい構成にできます。まずはこの3グループを土台に、自店に必要な項目を足し引きしていきましょう。
犬の情報(犬種・体重・健康状態・苦手な部位)
犬の名前や識別情報(呼び名・写真など)に加え、犬種・年齢・体重・サイズ、皮膚の状態やアレルギー、既往症、かかりつけの動物病院、苦手な部位や性格(ドライヤーや爪切りが苦手など)を記録します。とくに皮膚トラブルや持病、苦手な施術は、安全に施術を進めるうえで欠かせない情報です。健康面の記録では「飼い主からの申告」と「施術中に観察した事実」を分け、確認日や情報源を残しておきます。サロン側で診断名のように書かず「赤みが見られた」といった観察事実にとどめ、気になる点はまず飼い主に確認し、必要なら飼い主から動物病院へ照会してもらいます。サロンから病院へ連絡する場合は、事前に飼い主の意向と共有する範囲を確認しておくと安心です。
飼い主の情報(連絡先・仕上がりの要望)
飼い主の氏名・連絡先に加え、仕上がりの要望や過去のお願いごとを記録します。連絡先は当日の急な連絡にも使うため、正確に残しておきます。来店経路は施術に必須の項目ではないため、利用目的を定めたうえで任意項目として扱うとよいでしょう。要望や避けてほしい点を書き留めておくと、次回以降の仕上がりのすれ違いを減らしやすくなります。個人情報を含む部分なので、後述する取り扱いの基本も合わせて押さえておきましょう。
施術の記録(カット指示・使用薬剤・仕上がり写真)
その日の施術内容そのものの記録です。施術日、担当者・記録者、メニュー、カットのオーダー(クリッパーの番手・足回りの長さなど)、使用したシャンプーや薬剤、施術中の様子、所要時間、そして仕上がり写真を残し、内容をチェックした最終確認日も添えます。施術履歴と仕上がり写真をセットで残しておくと、次回の再現や飼い主への説明がしやすくなります。担当が変わっても引き継げるよう、誰がいつ記録したかが分かる形にしておくのがコツです。

トリミングカルテに記録する項目の例
| グループ | 主な項目 | 記録しておく理由 |
|---|---|---|
| 犬の情報 | 犬の名前・識別情報・犬種・年齢・体重・サイズ・皮膚やアレルギー・既往症・かかりつけ病院・苦手な部位 | 安全に施術するための前提。健康面の配慮や事故予防につながる |
| 飼い主の情報 | 氏名・連絡先・仕上がりの要望・過去のお願いごと(来店経路は任意項目) | 連絡と要望の把握。仕上がりのすれ違いやクレームを減らしやすい |
| 施術の記録 | 施術日・担当者/記録者・メニュー・カット指示(番手・長さ)・使用シャンプー/薬剤・施術中の様子・仕上がり写真・最終確認日 | 次回の再現と説明の土台。担当が変わっても引き継ぎやすい |
はじめから項目を盛り込みすぎると記入が負担になり、続かなくなりがちです。まずは3グループの必須項目にしぼって様式を固め、運用しながら足りない項目を足していくと、無理なく定着させられます。
カルテは紙・エクセル・電子カルテ(アプリ)のどれで作る?
記録する項目が決まったら、次は「何で記録するか」です。カルテの作り方は大きく、市販のカルテ用紙などに手書きする紙、表計算ソフトで管理するエクセル(スプレッドシート)、専用の電子カルテ・アプリの3つに分けられます。それぞれ費用・検索性・共有・写真の残しやすさが違うため、今のお店の規模と手間の許容範囲に合う方法を選ぶのが現実的です。
紙のカルテ(市販用紙・自作プリント)
市販のペットカルテ用紙や、自作した用紙に手書きする方法です。導入コストがほとんどかからず、受付でその場に書け、自由なメモやイラストも残せます。一方で、過去のカルテを探すのに時間がかかり、複数店舗やスタッフ間での共有には弱く、紛失・劣化のリスクもあります。まずは費用をかけずに始めたい、1人〜少人数のサロンに向いた方法です。
エクセル・スプレッドシート
表計算ソフトで顧客ごとの記録を管理する方法です。既存の表計算ソフトや無料プランを使える場合は初期費用を抑えやすく(費用・条件は要確認)、犬種やメニューで並べ替え・検索ができ、クラウドのスプレッドシートならスタッフ間で共有もできます。ただし、仕上がり写真の添付や施術ごとの履歴管理はやや工夫が必要で、様式づくりや入力ルールは自分で決める必要があります。紙より検索・共有に強い、中間段階の方法と考えるとよいでしょう。
電子カルテ・アプリ
顧客管理や予約と一体になった電子カルテ・アプリを使う方法です。施術履歴や仕上がり写真をスマホから記録でき、検索や顧客情報との紐付け、スタッフ間の共有もしやすいのが特徴です。一方で、月額費用がかかるものが多く、操作に慣れる手間もあります。ここでは個別サービスの優劣は扱いませんが、記録・検索・写真・共有をまとめて楽にしたい段階で検討する選択肢です。
カルテの作り方3種類の比較
| 比較軸 | 紙のカルテ | エクセル・スプレッドシート | 電子カルテ・アプリ |
|---|---|---|---|
| 費用 | 用紙・印刷代程度 | 既存ソフトや無料プランを使える場合あり(要確認) | 月額費用がかかるものが多い |
| 検索性 | 過去分を探すのに時間がかかる | 並べ替え・検索がしやすい | 検索・絞り込みに強い |
| 共有 | その場にいる人に限られる | クラウドなら共有できる | スタッフ間で共有しやすい |
| 写真の添付 | 別途プリントや貼付が必要 | やや工夫が必要 | スマホから残しやすい |
| 向いている段階 | 初期費用を抑えて始めたい少人数の段階 | 記録を整理・共有したい段階 | 記録をまとめて効率化したい段階 |
3つは優劣というより、お店の規模やスタッフ数の変化に合わせて移っていくものです。まずは紙やエクセルで記録の型を固め、手作業が負担になってきたら電子カルテを検討するという進め方なら、無理がありません。
無料でカルテを自作するときの考え方とテンプレの作り方

「専用のカルテを買わないといけないの?」と思われがちですが、記録する項目さえ決まっていれば、有料の専用システムを契約しなくても市販用紙やエクセルでカルテは自作できます(用紙やソフトなどの費用はかかり得ます)。大切なのは立派な様式より、毎回同じ形で記録が残る仕組みです。ここでは、自作テンプレを作るときの考え方を手順で紹介します。
カルテの様式を自作する4ステップ
- 1
1. 記録する項目を3グループで書き出す
犬の情報・飼い主の情報・施術の記録の3グループから、自店に必要な項目を選びます。前章の項目例をたたき台にすると決めやすくなります。
- 2
2. 必須項目と任意項目を分ける
毎回必ず書く項目と、あれば書く項目を分けます。必須をしぼると記入の負担が減り、記録が続きやすくなります。
- 3
3. 記入しやすい並び順に整える
受付から施術、仕上がりまでの流れに沿って項目を並べます。紙なら1枚に収め、エクセルなら列の順番をそろえます。
- 4
4. 施術ごとに履歴を追記できる形にする
1頭につき来店のたびに履歴を足していける欄を設けます。過去の施術と写真を並べて見られると、次回の再現に役立ちます。
自作テンプレは、一度で完璧を目指す必要はありません。まず今日から使える最小限の様式で始め、運用しながら項目や並びを直していくのが、続けるコツです。なお、ダウンロードしてすぐ使える様式の配布は本記事では行っていませんが、上記の項目を並べるだけで実用的なカルテになります。
カルテと個人情報の扱いで押さえておきたい基本
カルテには飼い主の連絡先など個人情報が含まれます。犬の皮膚状態やアレルギー・既往症といった健康情報そのものは飼い主の要配慮個人情報にあたるわけではありませんが、飼い主の氏名・連絡先と結びついたカルテ全体は個人情報を含む記録なので、一体として扱いアクセスを制限します。ここでは一般的な注意点を整理します。なお、具体的な法令上の義務や自店での対応は、必要に応じて専門家や個人情報保護委員会など管轄の窓口にも確認することをおすすめします。
利用目的を具体的に定めて明示する
「連絡・施術・次回の再現のため」など利用目的をできるだけ具体的に定めます。受付票やWebフォームなど本人から書面等で直接取得するときは、原則として取得前に利用目的を明示し、その他の取得方法では取得方法に応じて通知・公表します。
定めた範囲内で利用する(一律の同意書は前提にしない)
通常の氏名・連絡先は、取得・記録のすべてに一律の同意書が必要という整理ではありません。明示した利用目的の範囲内で使い、目的外の利用や第三者提供、仕上がり写真の外部公開は別に判断します。個人データを第三者に提供する場合は、法令上の例外を除き原則として事前に本人(飼い主)の同意を得ます。写真をSNSなどに載せるなら、掲載先や用途を示して事前に飼い主の許可を得ます。
安全管理措置を講じる
紙のカルテは施錠できる場所に、データはパスワードで守ります。加えて閲覧できる人を限定し、スタッフごとに個別アカウントを分け、端末や持ち出しの管理も決めます。電子カルテやクラウド保存は業務委託として第三者提供に当たらない場合もありますが、その場合も権限・共有設定や委託先の安全管理、契約終了時の返却・削除まで確認します。
保管期間を決め、不要になったら処分する
保存年数を一律に決めつけず、利用目的や契約上の必要性から保管期間と見直し時期を決めます。必要がなくなった情報は、シュレッダーやデータ削除で確実に処分し、放置しないルールにしておきます。
個人情報の扱いは、お店とお客様の信頼に直結します。基本は、利用目的を具体的に定め、取得方法に応じて明示・通知・公表し、その範囲内で利用することです。通常の連絡先などは、取得・記録のすべてに一律の同意が必要という整理ではありません。仕上がり写真をSNSなどに掲載する場合は、カルテ内での保存とは目的を分け、法律上つねに同意が必須と決めつけるのではなく、掲載先や用途を示して事前に飼い主の許可を得る店舗の運用ルールにしておきます。対応に迷う点は、専門家や個人情報保護委員会など管轄の窓口に相談しながら整えていきましょう。
カルテは記録を積み上げて次回に活かす
トリミングのカルテは、一度作って終わりではなく、来店のたびに記録を積み上げると、安全面の確認や仕上がりの再現を考える際の土台になります。最初から高機能な仕組みを目指すより、記録する項目を決めて続けやすい形から始めるのが現実的です。まずは次の3つを押さえて、記録が積み上がる状態を作りましょう。
- 1記録する項目を「犬の情報・飼い主の情報・施術の記録」の3グループで決め、様式を固める
- 2まずは紙やエクセルで記録の型を作り、施術履歴と仕上がり写真を残す習慣をつける
- 3個人情報の取り扱いの基本を整え、手作業が負担になってきたら電子カルテを検討する
カルテの運用とは別に、新規のお客様に見つけてもらう入口も整えるなら、掲載という選択肢があります。全国のトリミングサロンを地域・料金・口コミで比較できる検索サイト「うちの犬スタイル」は、掲載を無料から始められるため、新規のお客様に見つけてもらうための掲載面を持てます。日々のカルテづくりと並行して、集客の入口も整えておきましょう。
公式サイトづくりを専門の支援に頼りたい場合の選択肢もあります。当サイトを運営するチームでは、トリミングサロン・ペットホテル・ペットサロンに専門特化した公式サイト制作・SEO・アクセス解析を用意しています(広告運用やMEO代行は対象外です)。
これとは別のサービスとして、トリミング向けにカルテ機能を含む受付サービスも準備中で、掲載オーナー向けに先行案内を予定しています。公式サイト制作と受付サービスは目的の異なる別々の取り組みなので、分けて検討するとよいでしょう。
よくある質問
トリミングカルテには何を書けばいいですか?
犬の情報・飼い主の情報・施術の記録という3グループで設計するのが基本です。犬種や体重・皮膚や持病・苦手な部位、飼い主の連絡先や要望、そしてメニューやカット指示・使用薬剤・仕上がり写真を残しておくと、安全な施術と次回の再現に役立ちます。
トリミングカルテは無料で作れますか?
作れます。記録する項目さえ決めれば、有料の専用システムを契約しなくても市販のカルテ用紙やエクセルで自作できます(用紙やソフトの費用はかかり得ます)。立派な様式より、毎回同じ形で記録が残ることが大切なので、必須項目をしぼって始めるのがおすすめです。
カルテは紙と電子(アプリ)のどちらがいいですか?
お店の規模や手間の許容範囲によります。初期費用を抑えて少人数で始めるなら紙やエクセル、記録・検索・写真・共有をまとめて楽にしたいなら電子カルテという選び方が現実的です。まずは紙やエクセルで型を作り、手作業が負担になってきたら電子カルテを検討する進め方なら無理がありません。
カルテの個人情報はどう扱えばいいですか?
利用目的を具体的に定め、本人から書面等で直接取得する場合(受付票・Webフォームなど)は原則として取得前に明示し、その他は取得方法に応じて通知・公表したうえで、その範囲内で使うのが基本です。通常の連絡先は取得・記録のすべてに一律の同意書が必要という整理ではありません。個人データの第三者提供は、法令上の例外を除き原則として事前に本人の同意を得ます(電子カルテやクラウド保存は業務委託として第三者提供に当たらない場合もあります)。仕上がり写真のSNS等への掲載はカルテ内の保存と目的を分け、掲載先や用途を示して事前に飼い主の許可を得る店舗ルールにします。紙は施錠、データはパスワードや閲覧者の限定で守り、迷う点は専門家や個人情報保護委員会など管轄の窓口に確認しましょう。
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